【展示会レポート】2021年 名古屋ものづくりワールド 会場視察記
2021年4月7日~4月9日の3日間 ポートメッセなごやにて開催された
”名古屋ものづくりワールド”を視察してきました。
![](https://kictec3d.com/wp-content/uploads/2021/04/20210408_114437-edited-1024x575.jpg)
我々は4/8に会場を訪れました。
名古屋で開催されているものづくりワールドは初めて来場しましたが、
インテックス大阪で開催される”関西ものづくりワールド”よりは
規模が小さい感じがしました。
もちろんコロナ禍ということもあり、
出展数を制限されている影響もあると思います。
お昼前に到着して会場入りしましたが、
多くの来場者でにぎわっている感じはありました。
会場では各入口での手指の消毒とマスク着用の確認、検温が実施され、
常時換気の徹底やセミナーブースのソーシャルディスタンス確保、
ブース毎に消毒液の設置を行い、こまめな展示物の消毒の実施、
会社によってはフェイスシールドの着用、
配布物に除菌シートの粗品を同梱する等、
様々な感染予防策を実施しながら、開催されていました。
今回もメインは「次世代 3Dプリンタ展」の視察です。
![](https://kictec3d.com/wp-content/uploads/2021/04/20210408_114722-edited-1024x1024.jpg)
出展者数は15社ほどあり、プリンタ実機、3Dプリンタ出力品、
3Dスキャナーなど3Dプリンタ関連のさまざまな展示がありました。
今回の出展ブースにはヒューレットパッカード社やキーエンス社といった
名前が無かったため、大型機を展示しているブースはありませんでしたが、
デスクトップ型の比較的小型で導入しやすいモデルが多く展示されていました。
![](https://kictec3d.com/wp-content/uploads/2021/04/20210408_125522-edited-scaled.jpg)
去年あたりにDMM.makeに導入された超高速光造形を謳う
Nexa3D社の「NXE400」という機種の実機が
展示されていないかなと思って探しましたが
残念ながら実機の展示はありませんでした。
筐体のモック品と造形品は展示されていたので、
造形品を実際に触れながら仕上がりの品質や質感を確認しました。
上の画像で奥に見える白いタワー型の模型があると思います。
こちらは通常の光造形方式では5時間程かかるサイズですが、
「NXE400」であれば2時間ほどで作ることが出来るそうです。
今回の次世代 3Dプリンタ展では展示されていた3Dプリンタの実機は
光造形機とFDM機が6:4ぐらいの比率で展示されていた様な印象でした。
粉末造形や金属3Dプリンタなどの大型機は展示されていなかった為、
造形品のみが各ブースで準備されていました。
FDM方式の3Dプリンタについては、Markforged社の3Dプリンタが
随所に展示されており、国内シェアが広がっているのを実感しました。
そんなFDM方式ですが、基本特許が切れている為、いろんなメーカーから
安価なモデルも多数販売されていることは、3Dプリンタのあれこれの中で
触れていましたね。そんな中で、ハイエンドモデルと呼ばれる3Dプリンタでは
耐候性を持った材料としてASAフィラメントであったり、靱性、柔軟性を求めて
PPやTPU系の材料ラインナップが増えたりと使用可能な材料が充実しており、
造形範囲の大型化や高精細化とは違う切り口で
FDM方式の可能性を広げていると感じました。
今回の展示ブースの中で一番興味深かったのは
アメリカのベンチャー企業でCarbon社のブースでした。
![](https://kictec3d.com/wp-content/uploads/2021/04/20210408_123039-1024x768.jpg)
同社は2013年に創業。
創業者らは高分子化学の研究者で、独自の造形技術を活用した造形方式を開発。
この造形方式を採用した「M1」と「M2」という2機種を開発。
アメリカでは2016年から販売を開始しています。
2017年にはこの造形技術を使って生産したソールをadidasが採用。
2018年末までに10万足を作ることを発表し大きな注目を集めた。
その後、adidasやRiddellといったスポーツメーカー、
FordやLamborghiniといった自動車メーカー、
さらにNASAなど多くの企業や研究機関へ導入されている実績があります。
![](https://kictec3d.com/wp-content/uploads/2021/04/PADT-OnDemandMfg-5-e1529665438685.jpg)
同社の開発した造形方式では異方性を持たない造形物を作ることが可能です。
システム的には光造形に似ていますが、メーカーの説明では
「光造形では”UVライトで1層分を硬化⇒一度液面から剥がす”を繰り返し
造形していくが、我々のプリンタでは引き剥がす必要が無いので”層”という
概念がない。なので、等方性の部品を作ることが出来る」ということです。
3Dプリンタは作るモデルを何層にも輪切りにして1層づつ積み重ねることで
造形物を作る為、基本的にはZ方向(積み重ねる方向)には弱いのが
一般的な3Dプリンタの造形物の特徴です。
ですが、同社の3Dプリント技術は連続した積層によって1層毎の境界が無く、
従来よりも短時間で強度のある造形物を作ることを可能にしています。
樹脂系の3Dプリンタとしては革新的でであることに違いは無いので
今後、同社の動向はチェックしておきたいと思いました。
今回、名古屋ものづくりワールドで3Dプリンタ展と同時開催している
「機械要素技術展」や「ものづくりAI/IoT展」に出展しているブースで
ツイッターのフォロワー様がいらっしゃったので、
ご挨拶に伺ったり、ブース外観を撮影してツイッターで
投稿させていただきました。
今回ご挨拶した企業様の実際のツイッター担当者の方はお留守番ということで、
直接お会いすることはできませんでしたが、今後もこういった展示会の際に
フォロワー様企業のブースがあれば、お邪魔させていただきたいなと思います。
名刺そろそろなくなるから新しい名刺にはSNS担当って入れてもらおうかな…?
それでは簡単ではありますが、この辺りで失礼します。
今回もここまでのご愛読、誠にありがとうございました。
By M.I
前年の大規模展示場視察レポートはこちら
![](https://kictec3d.com/wp-content/uploads/2021/10/190305_金沢市MS02.jpg)
岸 竜也 (きし たつや)
株式会社キシテック 代表取締役
3Dプリンターを使ったモノづくりを提案しています。
機械設計を生業としてきたため、設計力に自信があります。
様々な分野から、試作品等の依頼を受け、製品化のお手伝いを多数してきました。
手書きの絵から、3Dデータを起こして、3Dプリントすることも。
自身も設計のみならず、機械加工、機械板金加工、溶接などのモノづくりを経験してきた実績があり、いろいろモノづくりを相談出来ます。
現在は石川県工業試験場様や、ISICO(石川県産業創出支援機構)様、JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)様、石川工業高等専門学校様などと、繋がり多方面での対応が可能です。