Ultimaker用材料造形テスト

おはようございます、こんにちわ、こんばんわ

今回は新たに購入したUltimaker用材料の
造形テストを行った様子をお届けしたいと思います。

今回購入した材料のラインナップはこちら

・ABS
・Nylon
・CPE

元々弊社で使っていたPLAやToughPLA、PC、PP、TPUとの比較の為、
同じ形状でそれぞれを造形してみました。

まずはじめに、それぞれ簡単に各材料の紹介をしたいと思います。

Ultimaker ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)

ABSは強度があり、衝撃にも強いプラスチックで
一般的に広く使用されている樹脂材の1つです。
寸法安定性に優れ、表面品質が高いのも特徴です。
Ultimaker ABSは射出成型品に匹敵するディティールを実現し、
耐熱温度も85℃と一般的な用途で使うには十分な耐熱性を備え、
カラー展開も豊富なのでデュアルノズルによる2色成形も可能です。
カラー展開は白・黒・グレー・赤・青など10色。

Ultimaker Nylon(ナイロン)

Nylonはエンジニアリングプラスチックの中でも
信頼性の高い材料として幅広い用途に使用されています。
Ultimaker Nylonは耐衝撃性と耐摩耗性を持ち、
アルカリや有機化学物質に対する耐食性もあります。
カラー展開はクリア・黒の2色。

Ultimaker CPE(塩素化ポリエチレン樹脂)

CPEはポリエチレンの特性に耐候性、耐衝撃性、難燃性、
耐薬品性、耐オゾン性を向上させたプラスチックと
ゴムの特性を備えたポリエチレン系のプラスチックです。
Ultimaker CPEはCPEが持つ性質を生かし、
機能的なプロトタイプや機械部品を3Dプリントすることに
適した材料です。サポート材を使った造形にも適しているため、
複雑な形状の3Dプリントが可能です。
カラー展開はクリア・白・黒・グレー・赤・青など9色。

以上が新たに購入した材料の特性でした。
丁度よい機会なので、PLAやPPなども特性をご紹介します。

Ultimaker PLA(ポリ乳酸)

PLAはトウモロコシやサトウキビといった
植物から抽出したデンプンを原料として生産する
バイオプラスチックの一種です。
Ultimaker PLAは手軽な3Dプリントを実現しており、
高速で簡単に印刷することが出来ます。
カラー展開も豊富で、デュアルノズルを最大限に生かした
2色成形やサポート材を使った造形が簡単にできます。
カラー展開はクリア・白・黒・グレー・青・赤など11色。

Ultimaker Tough PLA(ポリ乳酸)

Ultimaker PLAにABSと同等の靱性を備えたPLA材料です。
一般的にABSは熱収縮による反りが発生しやすい為、
FDM方式で大きな造形物を作ることには不向きですが、
Ultimaker Tough PLAはABSに準ずる靱性を持ちながら
反りや剥離の無い造形物を作ることに適しています。
Ultimaker PLAと同じ様に使える為、サポート材を使った
3Dプリントも可能です。
カラー展開は白・黒・赤・緑の4色。

Ultimaker PC(ポリカーボネート)

PCは強度があり、衝撃にも強いプラスチックで
一般的にレンズやガラス代替品として使用されるなど、
高い透明性を持つ樹脂材です。
Ultimaker PCはABSよりも高い耐熱性(110℃)を持ち、
高温下でも形状を維持できる難燃性も備えています。
ABSよりも優れた靱性があり、力のかかる作業で使用する
ツールや支持具などにも使用できます。
カラー展開はクリア・白・黒の3色。

Ultimaker PP(ポリプロピレン)

PPは耐熱温度が高く、機械的強度に優れており、
表面が滑らかで傷がつきにくい、耐薬品性が優れているなどの
特性があり、一般的に食品トレイからコップ、自動車部品など
広く利用されているプラスチックです。
Ultimaker PPは高い耐薬品性を生かしたボトルやケースの造形や
軽くて耐久性があることを生かしてヒンジやクランプなどの
可動部モデルの造形に向いています。
カラーはクリアのみ。

Ultimaker TPU(熱可塑性ポリウレタン)

TPUは機械的強度に優れ、ゴムのような弾性を持ち、
耐摩耗性や耐油性などに優れた熱可塑性樹脂です。
Ultimaker TPUは優れた耐摩耗性とゴムの様な柔軟性を生かした
パッキンやシール材、滑り止め構造などの造形に向いています。
カラー展開は白・黒・赤・青の4色。

並べてみるとこんな感じです。

造形条件はCuraのプリセットから積層ピッチ0.2mm、
造形速度は各材料の標準、内部充填率は20%で
サポートは無しを選択しました。

今回新たに購入した3つを見ると
ABSとCPEがとても安定していたと思います。
オーバーハング部やアーチ上部など、崩壊がほぼ無く
手触りもかなり滑らかでした。

ABS
CPE

特にABSはFDM方式の3Dプリンタ用材料として
他メーカーでも広く採用されている為、ABSの造形品質の高さは
その3Dプリンタの素性を表していると言えるかもしれません。
今回の船のモデルでは反りはほとんどなく、綺麗な造形物に
仕上がっていると思います。

しかし、ABSはプレートに接する面積が広い造形物になるほど
反り易いのでプレート温度や冷却速度などの条件を煮詰めることが
重要になってきます。

CPEは初めて触れましたが感触としてはABSに近い感じがしました。
若干、プレートとの初期接着が甘いかな?という感じはありますが、
付属の接着剤やマスキングテープを貼ったりすれば問題無さそうです。
後加工のしやすさはABSの方がやりやすいと感じました。

Nylonはオーバーハング部分に積層痕が目立つような仕上がりでした。

Nylon

他の材質に比べて、出来上がった造形物の糸ひきも多く
Nylonでの造形時はプリセットの造形速度よりも少し落として
ゆっくり積層する方が綺麗な造形物になると感じました。

加えて、他の材料についても見ていきましょう。

PLA、Tough PLAについては、弊社オリジナルの
マスクフレームの製造に使用しているので他の材料との
比較基準として同じ形状で出力しています。

PLA

Tough PLA

PLAもABSと並んでFDM方式3Dプリンタで扱われる
一般的なフィラメントですので、造形品質が安定しており、
扱いやすい材料です。Tough PLAはPLAの強化品なので、
基本的にPLAと同じ様に扱うことが出来るので、
仕上がりもPLA同様に安定しています。

PLAはABSに比べて反りにくい為、プレートの接地面積が広い
造形物でも反りや変形の影響を受けず安定した造形物を
作ることが出来ます。ですが、後加工のしやすさはABSの方が
優れており、PLAは表面を磨く等にはあまり向いていません。

PCの造形品質はPLAやABSと比べて遜色無いレベルでした。
今回PLAとPCはクリアフィラメントを使用したため、
ぱっと見では見分けがつかないレベルです。

PC

触った感じはPLAと比べて衝撃強度が高い為かすこし硬い感じがします。
また、透明性が高いので内部のインフィルが透けて見えています。

PPとTPUは船の先端部分や柱部分が他に比べると粗さが目立ちました。

PP
TPU

PPとTPUは他フィラメントに比べると柔らかいので、
造形物を触ると硬質ゴムの様な質感です。
プリセットの造形速度よりもゆっくり積層させた方が
綺麗な造形物を作ることが出来そうです。
今後、PPでボトル形状を作ったり、TPUでカバー類を作る際に
参考となる良いデータを取れたと思います。

比較用として光造形でも同じ形状を出力してみました。

光造形品

細かい表面の滑らかさやエッジの鋭さは、光造形の方が
しっかり表現できているのが良く分かります。
フィギュア系はやはり光造形の方が細かいディティールを
表現できるので強いと思います。


Ultimakerではメーカー純正材料として
PLA,Tough PLA,ABS,Nylon,PC,CPE,CPE+,PP,TPUの
8種と水溶性プラスチックのPVCとBreakawayの2種の
サポート材をラインナップしています。
メーカー純正以外にも三菱化学やPolymaker製の材料に
対応しており、難燃性や耐熱性、耐紫外線に優れた材料など
40を超える材料を扱うことが出来ます。

Ultimaker S5はFDM方式でありながら最小ピッチ0.06を誇り、
ノズル径も0.25、0.4、0.6、0.8mmの4種類があり、
高精細に対応できるデスクトップ型FDM3Dプリンタです。

相当品ではなく本物のABSやPPなどの熱可塑性樹脂を使う為、
最終製品と同じ材質で形状確認や使用感の確認を
試作型を使わずに出来るのがFDM方式の強みですね。

高精細であれば寸法や細かなディティールの確認もしやすく、
他の3Dプリント品よりも比較的安価に製作することが出来ます。

オーバーハングが厳しい形状や中空構造もサポート材を使うことで
確実に造形することが出来ます。

「こういう形状作れるかな?」や「これ作ったら幾らぐらい?」など
お問合せは以下からお気軽にどうぞ!

今回も最後までご愛読いただきまして
誠にありがとうございました。
今回はこの辺りで失礼します

by M.I

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