【実例紹介】こんなものにも3Dプリンタは活用されています!

おはようございます、こんにちわ、こんばんわ

前回告知通り、「3Dプリンタで製造した部品が使われている製品」を
いくつかご紹介していきます。

まずは自動車業界から

フォードモーター(アメリカ)では1988年から3Dプリンタを導入し、
プロトタイプ製作をはじめ、治具製作や量産車用部品の製造を行っています。
2019年1月に開催された「北米国際自動車ショー」で発表された同社の
フラッグシップハイパフォーマンスカー「シェルビー・マスタング GT500」は
ブレーキ関連の2つの部品を3Dプリンタで製造し、使用しています。

また、「F-150 ラプター」のインテリアパーツにも3Dプリンタ製の部品を
使用しているそうです。

<参照元:Fordが3Dプリント技術を研究する先端製造技術センターを開設

BMW(ドイツ)においても、3Dプリンタを早くから導入し、
プロトタイプ製作をはじめとしてさまざまな部品を製造しています。
2013年に販売が開始され、昨年4月に生産終了を発表した
プラグインハイブリッドスポーツカー「i8」のコンバーチブルモデルでは
ドアウィンドウのガイドレールやソフトトップのアタッチメントに
使用される部品などをSLS方式の3Dプリンタで製造し、使用していました。

また、BMWのレース部門となるBMW M社において、
2019年に発表した「X3 M」と「X4 M」に搭載されている
「S58」型3L直列6気筒エンジンには3Dプリンタで造られた
シリンダーヘッドが使用されているそうです。

<参照:BMW新型エンジンに3Dプリント製シリンダーヘッドを搭載

自動車メーカーだけでなく、タイヤメーカーも3Dプリンタで
製造した製品の商品化を進めています。
こちらはまだ実用化には至っていませんがご紹介します。

ブリジストンやグッドイヤー、ミシュランといった
主要なタイヤメーカーでは「エアレスタイヤ」の研究を進めています。
エアレスタイヤは舗装路だけでなく、悪路や砂地など様々な環境で
パンクせずに走れるタイヤとして各社開発を進めており、
その開発・製造に3Dプリンタが活用されています。

ミシュラン(フランス)とGM(アメリカ)が共同で開発している
エアレス3Dプリントコンセプトタイヤ「Uptis」は
自動運転シャトルやシェアサービス車など、パンクなどによる
タイヤのメンテナンスをほぼゼロにすることが求められる環境で、
運用能力を最大限に引き出すため開発されています。
毎年、大量に破棄されるタイヤの数を減らし、タイヤ製造に使用される
原材料やエネルギーの削減など、メンテナンスフリー以外にも
大きなメリットをもたらすことが期待されています。
<参照:ミシュラン、エアレス3Dプリントタイヤ「Uptis」を発表


つぎは建築業界から

大林組では鉄筋と型枠を使わずに曲面だけで構成するシェル型ベンチ
(幅7m×奥行5m×高さ2.5m)を構築しました。
建設用3Dプリンターで作る国内最大規模の建造物です。
大型ロボットアームに取付けたノズルから特殊なモルタルを
FDM方式の様に連続的に吐出しながら、型枠に変わるフレーム構造を
積層していきます。次にフレーム構造内部へ「スリムクリート®」と呼ばれる
大林組が所有する超高度繊維補強コンクリートを充填して一体化します。
このシェル型ベンチは12ピースで構成されており、クレーンを使って
各パーツを吊り上げ、順次設置して完成させます。
トポロジー最適化技術も盛り込まれており、十分な強度を持たせながら、
通常のコンクリートで製作するよりも60%軽量化されています。

<参照:鉄筋と型枠を使わずに、曲面だけで構成するシェル型ベンチの構築

日本は自然災害の多い国ということもあり、
建築用3Dプリンタを用いた家屋などの建造物は難しいですが、
海外では既に3Dプリンタで住宅街を作る計画などが進行しています。

ドバイ政府は2025年までに建築物の25%を
3Dプリント技術を使って建てるという計画を発表しています。
そんな中、新たに、ドバイで「世界で最も大きな3Dプリンター製の家」が
完成したという記事がありましたのでご紹介します。

この建築物は約640平方メートル、
坪で計算すると194坪で、高さは約9.4メートル。
こちらの建築はボストンに拠点を置く3Dプリント建設会社と
ドバイ市が共同で行いました。
<参照:世界最大の3Dプリンター製の家が完成、194坪・2階建ての家が1台のプリンターで


最後は医療やバイオテクノロジーの分野から

佐賀大学医学部付属再生医学研究センター長の中山功一教授らは、
細胞専用のバイオ3Dプリンターを独自開発し、作製したヒト細胞由来の
人工血管をヒトに移植する世界で初めてとなる臨床研究を行っている。
現在、バイオ3Dプリンターを使った新しい治療法を
適切で安全に提供できるように研究を重ねている。
同プロジェクトではバイオ3Dプリンタを用いて
患者自身の皮膚細胞から培養・製作した人口血管の移植に成功した。
同様の移植がこれ以外に2例程控えており、
半年程の期間を目途に安全性を確認していくとしている。
ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の肝臓や心臓の細胞を混和した
ミニ臓器の製作を行い、薬の毒性試験に用いる研究も進めている。
<参考:世界初!バイオ3Dプリンターでヒト細胞由来の人工血管を移植

イスラエルの食品会社とイスラエル工科大学が、
3Dバイオプリンティング技術を用いた培養リブアイステーキ肉を
世界で初めて開発した。
同社はほかの種類の培養カット肉生産にも意欲を示しており、
各国当局の認可を得て2022年後半の市販を目指している。
研究チームは牛の生きた細胞を3Dプリントし、
血管のようなシステムで成長させ、本物のステーキ肉のように
筋肉や脂肪分を含む培養肉をつくり出した。
生産するのに動物を殺す必要は一切なく、遺伝子組み換え技術も使わない。
同社は今後、さまざまな培養肉を開発し、世界中の食卓に提供したい考えだ。
大規模なヨーグルト生産設備のような「バイオファーム」と呼ぶ
培養施設も建設していく予定という。
<参考:世界初、イスラエル企業が3Dプリンターで培養リブアイ肉開発


製造業では早くから3Dプリンタを導入し、研究・開発の短期間化を図り、
他者との競争に有利となるよう進めてきた企業が多くあります。
また、製造業だけでなく、医療やバイオテクノロジーの分野でも、
実際に3Dプリンタ製人口血管の人への移植や人工肉の販売など
ちょっと前だとSFの世界の話だったものが、実際に行われる
世界になっています。食糧問題や環境問題、エネルギー問題など
多様な問題解決の一端を3Dプリンタが担っているといっても
過言では無いかもしれませんね。

日本国内での3Dプリンタの話題は、出始めの頃に比べると
あまり見かけなくなったように思いますが、世界に目を向けると
航空宇宙産業をはじめ、製造業、医療、食品業界など
さまざまな分野で3Dプリント技術によって革新的な発見や
革新的なアイデアが生まれています。

国内だけで考えると設備やコスト面でまだまだ既存技術に
対抗できるわけではないので、3Dプリンタ製の商品や部材の
流通はわずかしかありません。
ですが、今よりもっと身近になるは20~30年先ではなく、
5~10年先の世界かもしれません。

さて、次回から何をご紹介しましょうかね…
またネタ探しときます
それでは、ここまでのご愛読ありがとうございました。

by M.I

前回の記事はこちら

【方式別紹介】シリーズ第1弾はこちらから

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