新材料でのテスト造形
おはようございます、こんにちわ、こんばんわ
前回のブログでの告知通り、新材料での造形テストの様子をブログにしたいと思います。
前回ご紹介したUltimaker S5ですが、普段はPLAを使用してマス空間を量産しています。
今回はPC(ポリカーボネート)のフィラメントを使用したテスト造形を行ってみました。
それではPC(ポリカーボネート)について簡単に補足しておきます。
ポリカーボネート(英: polycarbonate)は、熱可塑性プラスチックの一種。化合物名字訳基準に則った呼称はポリカルボナート。
様々な製品の材料として利用されている。モノマー単位同士の接合部は、すべてカーボネート基 (-O-(C=O)-O-) で構成されるため、この名が付けられた。ポリカ、PCと省略されることもある。また、アクリル樹脂などと共に有機ガラスとも呼ばれる。
透明性・耐衝撃性・耐熱性・難燃性・寸法安定性などにおいて、高い物性を示す。耐衝撃性は一般的なガラスの250倍以上といわれる。エンジニアリングプラスチックの中でも平均して高い物性を示す樹脂であり、かつ透明性をもつために光学用途にも使用でき、その物性に比べて安価であり、航空機・自動車など輸送機器、電気・電子光学・医療機器、防弾ガラスの材料などに広く用いられている。機械的強度も優れているので力のかかるプラスチックねじで最も多く使われている材料である。
Wikipedia ポリカーボネート より
とまぁ引用すると色々と書いてありますが、上記から端的に拾うと「透明性が高く、耐衝撃性、耐熱性、難燃性があり、様々な用途に使用されているプラスチックの一種」ということです。
身近ではでCDやDVDなどの光ディスクはポリカーボネートのディスクを一般的に使用しています。
他にも車のヘッドライトカバーや戦闘機のキャノピー、食品保存容器など広く用いられています。
そんなPCフィラメントで今回造形したのはこちら
サイズ感は伝わってないと思いますが、スクリューキャップの付いたボトルです。
直径約45mm、高さ約50mm程のサイズなのでクリップとかを入れるのにちょうどいいサイズ感。
さて、今回は初めての造形ですので、Cura(スライスソフト)のデフォルト設定で造形します。
PLAと大きく違うところは印刷時のノズル温度とプレート温度ですね。
PLAではノズル温度は200度、プレート温度は60度で印刷しますが、PCの場合はノズル温度280度、プレート温度110度とかなり高温で造形していきます。
それ以外はPLA用のパラメータと大差は無かったです。Curaが優秀なのかS5が優秀なのか・・・。
通常業務時間はマス空間の製造を行っているので、一区切りついたところでフィラメントをPLAからPCに入れ替えて造形開始!
3層目辺りを作っているところを抜粋しています。
下から1層づつ積み重ねていくのでよほど形状が特殊でない限り同じ動きを繰り返します。
今回のモデルでは底面となる板部分を作って円筒部分の壁をぐるぐる積み上げていきます。
やはり温度が高いのでヘッド周辺やプレート近くは温かい(熱い)感じでした。
(動いている機械に近づくのは危険ですので絶対にやめてください)
若干、プラスチック系の溶けてるときに香る化学薬品臭がしました。
まぁ、気になるほどではなかったです。
定時ちょい前に造形開始したので、順調に動いているのを動画撮って確認し、掛けっぱなしで退勤。
翌日、出来上がっていたものがこちらです。
今回のモデルは造形に約5時間半程かかっております。
ピッチは0.1mmで作ってみました。
フィラメント状態だとかなり透明度高かったのですが、やはり積層面(側面)に透明感は無いです。
0.1mmピッチですので側面部の積層痕がさほど目立ちません。
スクリュー部分やキャップの滑り止め面も綺麗に出来ています。
中にクリップを入れてみましたが、横からでは入っているかどうかは何となくでしか分かりません。
底から見ると中に入っているものが見える程度には透明感がありました。
精度的にも問題無さそうでしたので、デフォルト設定で十分綺麗にできそうです。
オーバーハングが厳しい場合や側面(積層面)の仕上がりを重視する場合は0.1mm以下のピッチで造形するほうが綺麗に出来ると思います。その辺りは、前回のブログでも触れました目的に合わせて作るのが良いですね。
PLAでも同じ形状作ってみようかしら…出来栄えの比較も出来るし透明度の比較も出来るな…
よし、タイミング探してPLAでもピッチ0.1mmで同じ形状作ってみようと思います。
その際はツイッターでご報告するかも?
次回はどうしましょうかね…アジリスタの紹介…んー またネタ考えときます。
それではここまでのご愛読、ありがとうございました。
By M.I
岸 竜也 (きし たつや)
株式会社キシテック 代表取締役
3Dプリンターを使ったモノづくりを提案しています。
機械設計を生業としてきたため、設計力に自信があります。
様々な分野から、試作品等の依頼を受け、製品化のお手伝いを多数してきました。
手書きの絵から、3Dデータを起こして、3Dプリントすることも。
自身も設計のみならず、機械加工、機械板金加工、溶接などのモノづくりを経験してきた実績があり、いろいろモノづくりを相談出来ます。
現在は石川県工業試験場様や、ISICO(石川県産業創出支援機構)様、JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)様、石川工業高等専門学校様などと、繋がり多方面での対応が可能です。