3Dプリンタ紹介【KEYENCE AGILISTA 3100】
おはようございます、こんにちわ、こんばんわ
設備紹介第2弾ということで、メイン機種(?)のご紹介です。
キーエンス社製 アジリスタ3100をご紹介していきたいともいます。
3Dプリンタ界隈では、
かなり有名な機種の一つといっても過言ではないと思います。
KEYENCE社製 国産高精細3Dプリンタ AGILISTA 3100
造形方式: インクジェット方式
造形サイズ: 297×210×200mm(A4サイズ×200mm)
積層ピッチ: 15-20ミクロン
対応材料: <モデル材>アクリル系 紫外線硬化樹脂(透明)
<サポート材>水溶性樹脂
まず、アジリスタの造形方式は”インクジェット方式”です。
つまり、オフィスやご家庭にある紙に印刷をするプリンターと
同じ方式を採用しています。
<紙にプリントする場合>
プリントヘッドからインクを紙に塗布して印刷
<アジリスタの場合>
①プリントヘッドから液体状の材料をベースプレートに塗布
②塗布した材料の表面をローラーで均す
③紫外線ランプでモデル材を硬化
それを繰り返すことで立体物を造形します。
造形物は黄みを帯びた透明色です。
サポート材はオレンジに近い黄色をしています。
高精細と謳っている通り、積層ピッチは0.02mmと
かなり薄い層で積層していきます。
一般的に使用されてるコピー用紙は0.09mm前後ですので、
コピー用紙の1/4程度の薄いプラスチックの層を積み重ねていきます。
エンジンブロックなどの縮小模型も細部まで再現できます。
こちらは航空機のジェットエンジン内部を模した模型です。
実際に回転させることも出来ます。
アジリスタのサポート材は水溶性なので、
水に漬けておくだけで除去できるのも特徴です。
前回、S5を紹介した際にも触れましたが、水溶性サポートであれば
こういった複雑な内部形状を持っている可動模型も
組みあがった状態で出力し、水につけてサポート除去、
乾燥させればOKと手軽に作ることが出来ます。
また、通常の紫外線硬化樹脂は靱性(材料の粘り強さ)が無い為、
外部からの力に弱く、ネジ締めや嵌合などを行うと
割れてしまう場合が多いです。
ですが、アジリスタで使用されているモデル材は
少量のウレタンを混ぜたアクリル系紫外線硬化樹脂なので、
ツメの嵌合やネジ締めを行っても割れずに使うことが出来ます。
高精細の恩恵は寸法精度の高さにも表れます。
なので、ネジ山もしっかり出力できます。
これだけ高性能な造形品がつくれるということは?
そうです!お値段が高いです。
造形コストは高めとなっています。
例は前回のS5と同じこちらの壺でいきましょう。
こちらを壺を立てた状態では約13時間。
参考価格は約5万円となっております。
(S5の0.02mmピッチよりはお安く出来ると思います。)
S5で0.02mmピッチにすると40時間程と言っていましたが、
アジリスタだと約1/3の時間で造形できます。
この造形時間の差は、造形方式の差によるものです。
<FFF(FDM)方式>
ノズルから一筆書きで造形するため、線で塗潰す様なイメージ
<インクジェット方式>
プリントヘッドの幅を塗布~硬化するため、面で塗潰す様なイメージ
アジリスタでの造形では、モデル材とサポート材の両方を使用します。
そのため、姿勢によって材料の使用量が変わります。
材料費だけでみると、今回の壺の場合は
立てた状態の方がサポートの使用量が少なく、微々たる差ですが安価でした。
(寝かせた方が数百円単位で高かったです)
実際、造形時間も考慮すると、寝かせた方がコスト的には安いです。
また、積層方向によって透過性が変わります。
それについては、過去のブログ(アジリスタ3100の実験)で
触れておりますのでそちらも参考にしてみてください。
S5の記事でも触れましたが、
出力品の使用目的に合わせて条件が決まります。
外観確認のみであればコストを抑えるために
「高さを出さない様に寝かせて作る」ほうが良いでしょう。
積層方向による強度や透過性を考慮する必要がある場合は、
立てた方が良い場合や傾けた方が良い場合もあります。
社内の設備はアジリスタとS5のみですが、
協力企業様が所有している設備では
シリコンゴムの3Dプリンタや粉末焼結タイプのプリンタ、
更に金属3Dプリンタもあります。
それぞれをご紹介…は難しいので各3Dプリンタの特徴を
私なりにまとめてみましょうかね。
次の記事の予定が決まったところで、
今回はこの辺りで終わりたいと思います。
ここまでのご愛読、誠にありがとうございました。
By M.I
アジリスタを使った実験記事
岸 竜也 (きし たつや)
株式会社キシテック 代表取締役
3Dプリンターを使ったモノづくりを提案しています。
機械設計を生業としてきたため、設計力に自信があります。
様々な分野から、試作品等の依頼を受け、製品化のお手伝いを多数してきました。
手書きの絵から、3Dデータを起こして、3Dプリントすることも。
自身も設計のみならず、機械加工、機械板金加工、溶接などのモノづくりを経験してきた実績があり、いろいろモノづくりを相談出来ます。
現在は石川県工業試験場様や、ISICO(石川県産業創出支援機構)様、JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)様、石川工業高等専門学校様などと、繋がり多方面での対応が可能です。