【方式別紹介】粉が立体になる!?粉末を使った3Dプリンタ

おはようございます、こんにちわ、こんばんわ

【方式別紹介】シリーズ第3弾です。

前回は光造形方式の3Dプリンタについてご紹介しました。

今回は粉末方式の機種をご紹介していきます。

粉末積層造形3Dプリンタ

大きく分類すると粉末状にした材料を使用している3Dプリンタです。

もう少し分類を分けると
・粉末材料に接合剤を添加して造形する方式
・粉末材料を焼結させることで造形する方式
があります。

3D Systems社製 ProJet® 660Pro
石膏系粉末の粉末固着積層造形が出来る

3D Systems社製 ProX® SLS500
ナイロン樹脂の粉末焼結積層造形が出来る

”粉末材料を焼結させることで造形する方式”も
・レーザー光線による”粉末焼結積層造形“(SLS,SLM)
・電気炉等での焼結
に分かれます。

紹介ページによっては粉末積層造形の説明は”粉末焼結積層法“を
指しているページもあります。

この”粉末焼結積層法“は金属3Dプリンタで多く用いられており、
レーザー光線によるものは「パウダーベット方式」という名称で
説明されています。

金属3Dプリンタについては別の機会にまとめたいと思いますので、
今回は金属以外の材料についてまとめていきます。

金属以外の粉末材料は主に「樹脂」と「石膏」です。
そして、樹脂の中でも主にナイロン系の粉末材料が
粉末積層造形3Dプリンタでは使用されています。

粉末積層造形では、サポート材が不要です。

粉末積層造形では材料となる粉末を造形範囲一面に敷き詰め、
レーザー光線や接合剤の塗布等で必要な部分だけを固めます。
それを何層も繰り返して造形物を作成します。

そのため、固めていない部分の材料粉末がサポート材の役目も
担ってくれるため、サポート形状やサポート材料が不要となります。

【石膏系粉末の固着積層造形の流れ】
株式会社JMC様 (使用機種)Zprinter650

石膏系粉末による固着積層造形の場合、
結合剤を塗布し固めることで造形していきます。

接合剤を塗布する動きは、一般的な
インクジェットプリンタと同じ様な動きをします。
紙の上ではなく、粉の上に必要な部分だけ
結合剤を印刷するといったイメージです。

この結合剤にインクを混ぜることで、
フルカラーでの造形が可能となります。
ちなみに、3D Systems社で販売している
石膏系粉末を使用する3Dプリンタでは「バインダージェット」、
または「カラージェットプリンティング(CJP)」という名称で
紹介されています。

造形物は材料粉末に埋まった状態で出来上がってきます。
そのため、余分な粉を落とす作業が必要となります。

大まかな部分は付属の掃除機で吸い上げ、
細かい部分はエアブローで飛ばしたり、筆で落としていきます。

回収した材料は専用のフィルターを通すことで
再利用が可能なので、材料のロスが少ないこともメリットの1つです。

粉末固着積層造形では余分な粉を落とした造形物の表面に
更に硬化剤を塗って強度を上げることで造形品として完成します。

【ナイロン粉末の焼結積層造形の流れ】
都立産業技術研究センター様 (使用機器)RaFaEl 550C

ナイロン粉末による焼結積層造形の場合、
レーザー光線を照射し、焼結(溶融・凝固)させます。

焼結積層の場合、
造形品はナイロン粉末の色に依存するため、
基本的には白のみです。(私が調べた範囲では)

出来上がりの状態は固着積層造形と同じく、
材料粉末に埋まった状態です。

今回取り上げた機種では、余分な材料粉末は
ヘラなどで切り分けるように切除して、
回収口へ投入するタイプのようでした。

取り出した造形物は必要に応じて、
ショットブラスト加工などで細かい部分に残った
余分な材料を取り除き、表面を整えたら完了です。

粉末積層造形プリンタのメリットは
・サポート材が不要
・造形費用は比較的に安価である

・フルカラーの印刷に対応(固着積層造形の場合)
・造形速度が速い(固着積層造形の場合)

・高精細、高耐久な造形が可能(焼結積層造形の場合)

また、デメリットは
・表面がざらついた造形物になる
・余分な粉末の除去作業が必要

・耐久性が低い(固着積層造形)

・装置や付帯設備が大きく、運用コストが高い
 (焼結積層の場合)

また、HP社の独自技術として、
マルチジェットフュージョン方式という
固着積層造形と焼結積層造形の良い所取りの様な
方式の粉末積層造形3Dプリンタもあります。

ヒューレットパッカード(HP)社製 Jet Fusion 4200

こちらはナイロン粉末を使用し、必要な部分へ特殊な結合剤を
インクジェットプリンタと同じ方式で塗布した後、
ヒーターで加熱して溶融・凝固させて造形していく方式です。
ナイロン樹脂の特性を持った造形物を、固着積層造形と
同じぐらいの造形速度で作ることが出来る為、
比較的安価に機能試験が出来るレベルの造形物を
製作することが出来ます。

粉末積層造形3Dプリンタは安価な設備ではありません。
各方式とも、大量に粉末材料を使用するため、設備が大きく
稼働環境にも注意が必要です。

粉末を扱う環境で、特に気を付けなければいけないのは
粉じん爆発」です。「粉じん爆発」は”ある一定の濃度の
可燃性の粉塵が大気などの気体中に浮遊した状態で、
火花などにより引火して爆発を起こす現象
”です。

粉末積層造形で使用する材料の
「石膏」、「ナイロン」とも可燃性の粉塵に分類されます。
その為、余分な材料を取り除いている最中は粉末が
飛散している状態となり、その中で静電気火花等が
発生してしまうと粉じん爆発が起こってしまいます。
そういった事故を防ぐためにも、
換気の徹底、設置環境の静電気対策の徹底などが必要です。

そのため、なかなか家庭用に1台!…は無理ですが、
DMM.make様はじめ、多数の出力サービスにて
粉末積層造形での出力が可能です。

なかなか機会はないかもしれませんが、一度お試しあれ!

ということで、ちょっと長くなりましたが
粉末積層造形3Dプリンタのご紹介でした。

次回は熱溶解積層法(FDM・FFF法)のご紹介です!
お楽しみに!

ご愛読、ありがとうございました。

by M.I

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