【プログラフ株式会社様】イラスト内のアイテムを立体化!!
おはようございます、こんにちは、こんばんわ、担当Yです。
前回に続き、今回もSNS経由で素敵なイラストを立体化したお話です。
今回はイラスト内のアイテムを立体化してみました。
1. イラストとの出会い
2021年の8月、ちょうど真夏の時期に
プログラフ株式会社様がtwitterにて可愛い”うちわ”を公開されました。
プログラフ様は、企画・デザインから様々な印刷・加工まで手掛けていらっしゃいます。
twitterでは「プロたん」(画像中央のキャラクター)を通して、
PR活動や様々なグッズ展開もされています。
この可愛らしい”うちわ”は期間限定のおまけで製作されたとのこと。
Twitterにて朝の挨拶を担当している私は、うちわの左上が気になってしまいました。
”なんだこの蚊遣りは!?・・・”
この蚊遣りの中や、見えない部分が気になり、モデリングのスイッチが入ってしまいました。
それから7時間後・・・
立体化出来ました!!! ※実際の作業時間は3時間程度です。
このデータをTwitter担当者様にお見せした所、大変喜んで下さいました。
作業は以前製作したボウリングカニの内容と同等のものになっています。
データ製作当時は、Matching HUB Hokuriku 2021に出展する際の
3Dプリント品の展示物を選定している最中でした。
そこで、”2Dイラストから3Dデータ化・3Dプリント”のサンプルとして展示させてほしいと
ご依頼し、実際に3Dプリントすることが決定しました。
2. 3Dプリントの実施
では、早速3Dデータを3Dプリントしていきましょう。
前回同様、今回も光造形タイプの3Dプリンターで出力しました。
それが、こちら!!
3Dデータ通りに3Dプリントされました。
このプリント品は、手のひらサイズで6.5時間程度プリントに掛かりました。
精度よく出力される光造形ですが、造形時間をかなり要します。
続いて、ニッパーやヤスリ等でサポート部分をしっかり処理します。
データ通りの蚊遣りらしい形状が見えてきました。
横側の模様や目の表情もしっかり造形されています。
<塗装>
続いて、展示会用に塗装も施していきます。
エアブラシにて、ホワイト・濃いグリーン・ブラックの3色で塗り分けてみました。
カラーになると、よりイメージに近づけることができ、現実味が湧いてきます。
普段通りならここで完成なのですが、今回はまだまだ続きます。
3. リアルサイズでの3Dプリント
見本のモデルが完成し、展示会に向けて準備していた際、グループ内で面白いアイデアが出ました。
「実際の蚊遣りサイズで作ったらどうだろう?」
実物サイズのものを3Dプリントしたことはなかったのですが
面白そうですし、展示会の目玉にもできそうだったのでチャレンジすることになりました。
<リアルサイズの為のデータ修正>
まず、リアルサイズにするため
蚊遣りのデータ全体を2倍サイズに拡大しました。
大きさを2倍した状態ですが、“2倍サイズってこんなに大きいのか!?”
と思うほど、かなりサイズアップしたように感じます。
また、本物の蚊遣りと比較すると
空気の通り道がないので、機能面も併せて修正することにしました。
まずは、正面側から。
目のデザインだった部分を切り抜き、空気の流れが大きくなるように修正しました。
続いて、背面側です。
元のサイズでは後ろ側が閉じており、空気の通り道がなかったのですが
本物の蚊遣りを参考に大きくカットし、空気の通り道を確保しました。
<3Dプリントの為のパーツ分割とギミック>
リアルサイズのデータが完成しましたが、
この「プロたん蚊遣り」を3Dプリントするには問題がありました。
それは造形サイズが大きい為、1度に3Dプリントできないことでした。
その為、各パーツごとに分けて3Dデータ化・3Dプリントすることになりました。
まずは、脚・耳のパーツを
3Dプリンタで造形しやすいように分割していきます。
脚・耳パーツは、突起部分に対して大きめの円形に切り抜き、
3Dプリントしやすい形状になるよう分割しました。
脚・耳パーツは3Dプリント後、胴体パーツに
接着剤等で接着する方法で組み付けます。
続いて、胴体部分です。
脚・耳パーツがない状態なので、不思議な感じの画像になっていますが・・・
この胴体パーツも前後に2分割することにしました。
ただ、3Dプリントの為だけに2分割し、プリント後に接着する方法をとると
展示会に持ち運ぶ際にサイズが大きくなり、運びづらいので
“接着なし”で組み付け可能な分割にしました。
それが、こちら!!
上2枚の画像で理解できた方は、3Dに強い方だと思います。
仕組みとしては、胴体後パーツの出っ張り部分を
胴体前パーツにはめ込んで、少し回転させるとロックする機構になっています。
こういった機構を加えられるのは、3D機械設計を営んできた弊社の強みかもしれませんね。
<3Dプリントの実施>
3Dデータのパーツ分割が完了したので、3Dプリントを実施していきます。
今回の3Dプリントでは、サイズが大きく造形範囲を超えるため
先ほど紹介した光造形タイプではなく、FDM方式の3Dプリンタを使用しました。
そして、出力したパーツたちがこちら!!
全部で8パーツですが、合計で丸1日以上の造形時間が掛かりました。
サイズが大きくなった分、FDM方式でも脚・耳パーツの形状や
胴体のロック機構など綺麗に3Dプリントされています。
最後にこれらのパーツを組み合わせて・・・
リアルサイズのプロたん蚊遣りが完成しました!!
組み上げる瞬間はワクワクしますし、やっぱり楽しいですね。
4. まとめ
今回は、SNSを通してイラストの3Dデータ化そして3Dプリントを実施いたしました。
大きいサイズの3Dプリントやロック機構の組み込みなど
弊社ならではのデータ作りもご紹介できました。
今回のようにサイズ変更を3Dデータに反映し
パーツ分割しての3Dプリントも可能です。
気になる方は、まずはご相談いただければと思います。
↓イラストの3Dデータ化・3Dプリントの細かい工程に関してはこちらをご覧下さい。↓
今回は、この辺りで。
では、また~
担当Y
岸 竜也 (きし たつや)
株式会社キシテック 代表取締役
3Dプリンターを使ったモノづくりを提案しています。
機械設計を生業としてきたため、設計力に自信があります。
様々な分野から、試作品等の依頼を受け、製品化のお手伝いを多数してきました。
手書きの絵から、3Dデータを起こして、3Dプリントすることも。
自身も設計のみならず、機械加工、機械板金加工、溶接などのモノづくりを経験してきた実績があり、いろいろモノづくりを相談出来ます。
現在は石川県工業試験場様や、ISICO(石川県産業創出支援機構)様、JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)様、石川工業高等専門学校様などと、繋がり多方面での対応が可能です。