【方式別紹介】今最も安価に手に入る3Dプリンタ?熱溶解積層方式3Dプリンタ

おはようございます、こんにちわ、こんばんわ

【方式別紹介】第4弾ですね。

前回は粉末積層方式の3Dプリンタについてご紹介しました。

今回は熱溶解積層法(FDM・FFF法)の機種をご紹介していきます。

熱溶解積層3Dプリンタ(FDM・FFF方式)

熱可塑性樹脂を高温で溶かし積層させることで
立体形状を作成する3Dプリンタです。

FDM」はFused Deposition Modelingの略、
FFF」はFused Filament Fabricationの略です。
以下ではFDMで統一して呼称します。

3Dプリンタの中では唯一、本物の熱可塑性樹脂※1が使用でき、
ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂などの様々な
エンジニアプラスチックを使用することができます。

(※1)熱可塑性樹脂とは
適当な温度に加熱すると可塑性※2をもち、
冷却すると固化する樹脂の総称。
熱を加えると容易に成形できる。

(※2)可塑性とは
外力を加えて変形させたあと、力を取り除いても元に戻らない性質

樹脂を熱で加工するという特性上、造形物が反って変形するなどの
トラブルが多く、使いこなすにはある程度の慣れが必要です。

FDM方式では、材料となるプラスチック類を
フィラメント状(糸状)にしたものプリンターの
ヒーター部へ送って、一度溶かしたものをノズルの先から
一筆書きの要領で敷き詰めて積層していきます。

イメージとしては、ソフトクリームを作るときの様な感じです。

熱溶解積層造形の様子
(使用機種)Ultimaker S3

上の動画をご覧いただけば、
基本的なFDM方式の感じは分かると思います。

造形物の色は使用する材料の色に依存するため、
染色された材料を使用することでカラープリントに対応します。

ただし、扱える色はプリンタ本体のノズルの数や
搭載する材料の数によって異なります。

例として挙げたUltimaker S3はノズルを2本搭載しているので
モデル材であれば2色、サポート材を必要とする場合は
単色での造形が可能です。

家庭用として販売されている安価なFDM方式の3Dプリンタは
ノズルが1本の機械がほとんどなので、安価なFDM方式の
3Dプリンタでは2色造形やサポート材をつかった造形は
できないものが多いです。

動画で作っていた造形物を弊社で造形・販売する場合、
造形費用は13万円程ですかね…
大きな造形物になればそれだけ時間もかかるので、
造形費用も高額になりますね。

FDM方式プリンタのメリットは
・本物の熱可塑性樹脂材料が使える
・使用できる材料のバリエーションが豊富
・材料のカラーバリエーションが豊富
・ランニングコストが安価である
・専用設備が不要なため、オフィス等でも使える

FDM方式プリンタのデメリットは
・積層痕が目立ちやすい為、滑らかな表面が造形できない
・材料によっては反りなどの変形が起こりやすい
・(種類によっては)サポート材を手作業で除去する必要がある

熱溶解積層方式は、米国の企業がこの方式の特許を持っていました。
2009年に基本特許が切れたことで、この方式を採用した
比較的安価な3Dプリンタが多く販売されるようになりました。

現在、家庭用として販売されている3Dプリンタの多くは、「光造形方式」と
熱溶解積層方式(FDM方式)」を用いた3Dプリンタが多いです。

光造形方式とFDM方式どちらか優れているかと言われると
それぞれに一長一短がありますので比較は難しいです。

<造形物の綺麗さで比較>
綺麗という点では光造形方式の造形物が綺麗です。
後処理も行えば滑らかな表面を持つ造形物が作れます。

FDM方式では積層痕が目立つため、
表面を研磨しても完全に滑らかな見た目にするのは難しいです。

<使用材料で比較>
FDM方式では本物の熱可塑性樹脂が使用出来る為、
PLAやABS、ナイロン系の材料を扱うことが出来る。
材料や造形方向を工夫することで、
そのまま最終製品として使用することも出来る。

光造形方式では材料は紫外線硬化樹脂のみが扱える。
紫外線硬化樹脂の中でもABS樹脂の特性を再現したものや
PPの特性を再現したもの、高耐熱のもの等がある。
しかし、ベースは紫外線硬化樹脂なので
紫外線が当たり続けると硬化が進み劣化しやすい。

<寸法精度で比較>
FDM方式では熱収縮による反りや変形が起こると
それが寸法精度へ直接影響します。

光造形では熱収縮が起きない為、寸法精度は高いです。

<1度の造形で複数のモデルを作る場合で比較※3
FDM方式では造形時間=ノズルが動いている時間の為、
個数やサイズが大きくなればその分時間がかかります。

光造形方式の場合、ノズルが動く時間よりも
レーザー光線を照射する方が早いので造形時間も
比較的早いです。さらにDLPであれば面で照射するため
個数が増えてもあまり時間は変わりません。

(※3)1つのモデルをつくる造形時間は機種や作る
モデル形状によって異なる為、一概には比較ができません。
なので、造形範囲に複数のモデルを1度に造る場合を比較しました。

<運用環境で比較した場合>
FDM方式では材料となるフィラメントの管理が重要です。
フィラメントは乾燥している状態がベストなので、
除湿可能な環境で運用することが望ましいです。
フィラメントが湿気を帯びると熱収縮が強くなり、
反り易くなったり、ミスプリントなどの原因となります。

光造形でも材料となる液体樹脂の管理が重要です。
紫外線硬化樹脂全般に言えることですが、太陽光が当たると
硬化してしまうので、紫外線を遮断できる環境で保管が必要です。
さらに、高温下ではレジン液が安定しない場合があるため、
温度や湿度を一定に保つことが望ましいです。

<造形後の後処理で比較した場合>
FDM方式では造形が完了したあと、プレートから取り外し、
サポート材を使用している場合はそれを除去すれば完了です。
さらに必要に応じて研磨・塗装を行います。

光造形の場合は出来上がった造形物には余分な液体材料が付着しているため、
それらを除去する必要があります。その後、サポートを除去すれば完了です。
必要に応じて二次硬化・研磨・塗装を行います。

いろいろと比較してみましたが、個人的には
手軽さではFDM方式、造形物の綺麗さでは光造形の印象です。
使用目的によってどちらが向いているかが変わると思います。

オリジナルフィギュアやプラモデルの追加パーツ等を作るには
光造形の方が向いていると思います。後処理の手間は有りますが、
安価な機械でもかなり綺麗な造形物を作ることが出来ます。

工具や部品等を作る場合はFDM方式の方が向いていると思います。
実際に使用することを考えた材料選定と造形方向を考慮することで、
専用工具やオリジナルパーツを自分で作ることが出来ます。

家庭用3Dプリンタとしても浸透しているFDM方式なので、
同じく浸透している光造形との比較にボリュームがありましたが、
手軽な3Dプリンタのメイン機種となるFDM方式について
少しお分かりになりましたでしょうか?

FDM方式の3DプリンタはAmazonで2万円~という価格帯です。
また、使用する材料も材質によって価格は異なりますが、
よく使用されるPLA樹脂で1kg2500円程からあります。
(光造形用の紫外線硬化樹脂は500gで同じぐらいの価格帯です。)

価格面で見ても、この2つの方式の3Dプリンタは本体も比較的に
安価で、材料費も比較的に安価であることから、家庭用としても
導入しやすいことが普及を加速させたことが分かります。

ちなみに熱溶解積層方式の系統には、レーザービーム内に粉末や
ガス状化合物を吹き込んで、金属や化合物を積層して
製作するものもあります。こちらについては、金属3Dプリンタを
纏めるときに触れていこうと思います。

さて、第4弾はこの辺りで終わりましょう。
第5弾はシート積層法のご紹介ですね…
正直なところ、シート積層法の3Dプリンタを見たことが無いので
ちゃんとまとめられるか不安ですが、次回をお楽しみに!

ご愛読、ありがとうございました。

by M.I

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